One Straw Revolution
One Straw Revolution
「1Q84」村上春樹・テキストと英語の訳語・ページ 11
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「1Q84」村上春樹・テキストと英語の訳語・ページ 11

Parallel Japanese / English Translations Notes and Shadowing Practice for IQ84 by Haruki Muraki

原文ページ11

このは見世物の世界

何から何までつくりもの

でも私を信じてくれたなら

すべてが本物になる

This is a world of spectacle,

Everything is fabricated from start to finish.

But if you believe however,

Everything can become real.

第一章・青豆

見かけにだまされないように

タクシーのラジオは、FM放送のクラシック音楽番組を流していた。曲はヤナーチェクの「シンフォニエッタ」。渋滞に巻き込まれたタクシーの中で聴くのに言ってつけの音楽とは言えないはずだ。運転手も特に熱心にその音楽に耳を澄ませているようには見えないかった。中年の運転手は、まるで舳先になって不吉な潮目を読む老練な漁師のように、前方に途切れなく並んだ車の列を、ただ口を閉ざして見つめていた。青豆は後部石のシートに深くもたれ、軽く目をつうって音楽を聴いていた。

ヤナーチェクの「シンフォニエッタ」の冒頭部分を耳にして、これはヤナーチェクの「シンフォニエッタ」だと言い当てられる人が、世間にいった胃どれくらいいるだろう。おそらく「とても少ない」と「ほとんどいない」の中間くらいではあるまいか。しかし青豆には何故かそれができた。

ヤナーチェクは1九二六年にその小降りなシンフォニーを作曲した。冒頭のテーマはそもそも、あるスポーツ大会のためのファンファーレとして作られたものだ。青豆は一九二六年のチェコ・スロバキアを想像した。(12)


Translations:

タクシーのラジオは、FM放送のクラシック音楽番組を流していた。
The taxi's radio was playing a classical music program on FM broadcast.

曲はヤナーチェクの「シンフォニエッタ」。
The piece was Janáček's "Sinfonietta".

渋滞に巻き込まれたタクシーの中で聴くのに言ってつけの音楽とは言えないはずだ。 It wouldn't be called the ideal music to listen to in a taxi caught in a traffic jam.

運転手も特に熱心にその音楽に耳を澄ませているようには見えないかった。
The driver didn't seem to be particularly keen on listening to the music either.

中年の運転手は、まるで舳先になって不吉な潮目を読む老練な漁師のように、前方に途切れなく並んだ車の列を、ただ口を閉ざして見つめていた。
The middle-aged driver, like a seasoned fisherman reading ominous tides at the bow, was merely staring at the unbroken line of cars ahead, keeping his mouth shut.

青豆は後部石のシートに深くもたれ、軽く目をつうって音楽を聴いていた。
Aomame leaned back deeply in the rear seat, squinting slightly as she listened to the music.

ヤナーチェクの「シンフォニエッタ」の冒頭部分を耳にして、これはヤナーチェクの「シンフォニエッタ」だと言い当てられる人が、世間にいった胃どれくらいいるだろう。
Hearing the opening part of Janáček's "Sinfonietta", how many people in the world could identify it as Janáček's "Sinfonietta".

おそらく「とても少ない」と「ほとんどいない」の中間くらいではあるまいか。 Probably somewhere between "very few" and "almost none".

しかし青豆には何故かそれができた。
But for some reason, Aomame could.

ヤナーチェクは1九二六年にその小降りなシンフォニーを作曲した。

Janáček composed the modest symphony in 1926.

冒頭のテーマはそもそも、あるスポーツ大会のためのファンファーレとして作られたものだ。
The opening theme was originally composed as a fanfare for a sports event.

青豆は一九二六年のチェコ・スロバキアを想像した。
Aomame imagined Czechoslovakia in 1926.

Interesting Vocabulary for Learners Above JLPT N3 Level:

  1. 見かけにだまされないように (みかけにだまされないように) - So as not to be deceived by appearances.

  2. 渋滞 (じゅうたい) - Traffic jam.

  3. 巻き込まれた (まきこまれた) - Caught up.

  4. 言ってつけ (いってつけ) - Ideal, suited for the occasion.

  5. 熱心に (ねっしんに) - Keenly, eagerly.

  6. 耳を澄ませて (みみをすませて) - To listen attentively.

  7. 舳先 (ふなさき) - Bow (of a boat).

  8. 不吉な (ふきつな) - Ominous.

  9. 潮目 (しおめ) - Tide, current.

  10. 老練な (ろうれんな) - Seasoned, experienced.

  11. 冒頭部分 (ぼうとうぶぶん) - Opening part/section.

  12. 小降りな (こぶりな) - Modest, small-sized.

  13. ファンファーレ (ふぁんふぁーれ) - Fanfare.

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